狂犬→転倒→爆笑

2007,07,21
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by 天上 博規

「今までで一番、笑った事は?」

そう聞かれると、僕は満面の笑みを浮かべながら
一人で思い出し笑いをしながら
あの日の事をあなたに話すでしょう。

中学2年になったばかりの4月。

神戸には3ヶ月前に起きた阪神大震災の傷跡がまだまだ生々しく残り
仮設住宅が次々と建設される中

僕も含め、誰もが少しづつ[普段]の生活を取り戻そうとする日々


このノンフィクションの話の登場人物は

サッカーボールを常に持っていた僕と相方の倉田君
そして、この事件の主要人物の三瀬君の3人。


晴天に恵まれた土曜日の午後に集まった3人。
中学生という事で、移動手段はもっぱら自転車。

しかし・・・自転車で来た三瀬の様子がおかしい。

どうやら三瀬の自転車のタイヤがパンクした様だ。
彼の自転車は、ママチャリの僕やマウンテンの倉田とは違い
中学生なのに、競輪選手が使う様な本格的なサイクル自転車。

タイヤのチューブも1本1万円はするという本格派!


この頃、地震の影響を受けた神戸の街の道路は
アスファルトのほとんどに亀裂が入り、至る所に段差が生じていたので
三瀬の自転車のタイヤはパンクしてしまったという事らしい。

それも前輪と後輪の両方・・・・・。

この日は3人で近くの人工島である六甲アイランドに
釣りに行こうという事で集まったワケで

当の言いだしっぺの三瀬は
タイヤがパンクしたにも関わらず、そのままパンクしたタイヤで行こうと言う始末。


釣り馬鹿日誌のスーさん並の完全装備の三瀬君の気迫に負け
彼の後を追って、いざ六甲アイランドへ。


タイヤのチューブをタイヤから外して、チューブを肩に背負って走る三瀬君。

三瀬君の自転車はホイールで走るものだから
騒音が物凄い・・・。

「ガタガタガタガタガタガタ」

通り過ぎる人が全員、三瀬君の方を振り返り笑うので
僕も倉田君もちょっと恥ずかしいのだが・・・これも釣り場に着くまでの辛抱。


自転車で走る事・・・30分。

六甲アイランドの三瀬君がいう爆釣りのポイントまであと少し。

ここで三瀬君が重い口を開けた。


「ここを右に曲がった工場に2匹の犬がいて、追いかけてくるから注意してな!」


何と!!
地震で無法地帯と化した工場地帯に野良犬が迷い込み
近くを通る人を襲い掛かっているとの事だが・・・

その場所を通らないと爆釣りポイントへ到着しない・・・・。


しかし・・・こっちは自転車!!

思いっきり、自転車を漕いで逃げれば大丈夫だろう!!


いや・・・・そもそも今日もその場所に犬がいるとは限らない。

とりあえず、覚悟を決めて行くとするか!!!!

そして・・・中学生3人が恐る恐る交差点を右に曲がり
問題の工場を横切った、その瞬間・・・・・・・。

三瀬君が叫んだ!!!!

「キターーーーーーー」


その瞬間、2匹の警察犬の様な、いかにも狂犬な犬が僕たち目掛けて
猛ダッシュをして来た・・・・。


とりあえず・・・・逃げた・・・・。

笑ってはいたが・・・・本気で捕まると殺されると感じながら逃げた・・・・。


中学生の持てる力をフルに足に集中して漕いだ。


一番先頭で逃げる三瀬君・・・。

その次の倉田君・・・。

最期に僕が続く・・・・。

駄目だ・・・・・僕の体力と漕ぐ力では犬に捕まってしまう。


5m・・・・3m・・・・・犬が吼えながら近づく・・・。


もぅ駄目だ・・・・・。


追い付かれた・・・・・・。

「んんんっ???」

おかしいぞ!!!


犬は僕を追い越して行く・・・・。


僕の前の倉田君も追い越して行く・・・・・。

そう!!!犬のターゲットは最初から三瀬君のみだった。


原因は彼のタイヤ!!!


ホイールだけで走る彼のタイヤの騒音・・・・・・。


「ガタガタガタガタガタガタガタガタ」


その音に怒りを爆発させた狂犬2匹は三瀬君のみを狙って走る走る走る。

逃げる三瀬君
それを追う2匹の狂犬
それを後ろで見守る僕と倉田君。


「頑張れ三瀬君!」


その時、三瀬君が僕たちのSOSを出した!!!


どうやら肩に背負った2本のタイヤのチューブが邪魔で逃げ切れないらしく
そのチューブを倉田君に渡すという荒業を走りながら実行するとの事だ。


三瀬君の隣に自転車を付ける倉田君・・・・。


そして・・・・三瀬君がチューブを倉田君に渡そうとした
その瞬間・・・・・・・。


チューブが三瀬君の自転車に絡まり・・・・・

時速30kmで走りながら、思いっきり


クラッシュ!!!!!!!!!


大クラッシュ!!!!!!!!

大事故!!!!!!!!!!

そのまま・・・三瀬君は10m程、アスファルトを滑って
工事現場に突っ込む・・・・。


そのクラッシュに驚いた犬は、その後逃げて行き

工事現場のオジサンは心配そうに三瀬君に声をかける


「君、、、、大丈夫か???」

「はいっ!!!大丈夫です!!!!」

こけた事よりも、犬に食われる事を気にする三瀬君・・・。


そのままクラッシュした自転車にまたがる彼!!!


僕と倉田君は笑いが止まらない・・・・・。


三瀬君がチューブを渡そうと、片手運転になった瞬間に
体制を崩して、そのまま横になって宙に浮いて地面に叩き付けられて
肩から血が出ているのに、全然元気で。

その一連の流れを思い出すと、今でも大笑いしてしまいます。


その後、肩の傷を気にしながらも、爆釣りポイントに行って釣りを楽しむ僕たち。

あの日、確かに魚を100匹以上釣ったのですが・・・
それ以上に、三瀬君の武勇伝というか・・・
何というか・・・・。


僕の人生の中でアレ以上に笑った事はありません。。。。


そして倉田君とこの話を始めると
それだけで3時間は笑い続けれるのです。

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