音楽を仕事としている僕は
いつの頃からか今までの音楽ビジネスのあり方に疑問を持つ事が多くありました。
タワーレコードに足を運んでみると
あいも変わらずの勢いでリリースされ続けるCDの数と
反比例して減り続ける店頭に足を運ぶ人々の数。
人の生活の中で[音楽]が不必要になったわけじゃないとは思います。
僕の音楽に対する姿勢はバンドでも口々に言っている
「生活のBGMとして誰もが口ずさめる曲を作りたい」
という言葉が全てです。
音楽というのは娯楽に入るのでしょう。
人の生き死にとは関係のないものでしょう。
CDを買ったり、ライブに行ったり、テレビで観たり
音楽を楽しむ為にはお金が必要にもなります。
だから、音楽は生活のプラスアルファの娯楽品でしかないのでしょう。
でも、されど[音楽]なのだという想いも同時に持ち合わせています。
音楽は人の心を勇気付けたり、前向きにさせたり、涙を流させたり
明日への生きる活力になるものだと信じています。
たかが音楽ですが、その音楽の持つ魔法に魅せられた人生を送る僕です。
そんな僕の目線から、今の音楽というビジネスのあり方を考えてみます。
あれは2003年の猛暑の夏でした。
その年の5月に僕が活動しているバンド[LEGONIC TRAP]は
念願のレコード会社と契約し、CDを発売する事が出来ました。
「無名のバンドが無難にCDを出した所で売れる訳がない。」
そんな現実的な壁を前に僕はレコード会社の社長に過激な提案をしました。
バンドのリーダーとして、バンドを成功させる為に考えたアイデアや戦略は
その後も多く、数知れませんが、この提案を汲んでくれたレコード会社の社長には本当に感謝しています。
「CDを買ってくれた人にプレゼントするノベルティーグッズの量を非常識にしたい!」
LEGONIC TRAPがデビューシングルとして発売したCDアルバムの価格は
1,500円(税抜き)でした。
そのCDを買ってくれた人には
・オリジナルTシャツ
・限定ステッカー3種類
・ポスター
・缶バッジ
を特典として付けました。
今でこそ、CDの特典は色々な形がありますが
2003年当時は、ステッカー1枚が付いていても、かなりお買い得な時代でした。
この戦略の裏には、無名のバンドが店頭の売り場で
どれだけ目立つ事が出来るのか?という課題をクリアしました。
「並べるCDにTシャツや缶バッヂなどなどの特典をくっつけて欲しい!」
そんな無謀な要望にもお店が応えてくれたお陰で
各店頭の棚をLEGONIC TRAPがジャックする事が出来ました。
Tシャツが付いているお陰で横幅は取るわ、高さは取るわ(笑)。
そのお陰で、無名のバンドの広告費0のリリースが
・タワーレコード関西売り上げ総合ランキング3位
・タワーレコード全国売り上げ総合ランキング12位
を記録した大ヒットとなりました。
もちろん、自分たちの曲そのものに自信があった事もありますが
何もしらない顧客が商品の本質を理解するまでの
キッカケとしての戦略としては多いに成果を上げる事が出来ました。
また、この当時に僕が更に重要視したのが
インターネット上に広がる[口コミ]でした。
その当時はmixiなどのコミュニティーサイトはまだなく
掲示板といわれる、投稿型のコミュニケーションサービスが盛り上がりをみせていました。
そういったコミュ二ティーでバンドの話題を作り出す事が出来ないか?
そんな時に、とある掲示板でLEGONIC TRAPの話題のトピックスの投稿がありました。
小さなサイトの掲示板の小さな小さな投稿された声に僕は
バンドのリーダーとして感謝の気持ちでレスをしました。
純粋に自分達の曲を聴いてくれた事への感謝の気持ちからですが
そのレスが大きな反響を生みました。
インターネットをコミュニケーション媒体として扱った最初の瞬間です。
そこから、一気にバンドに対するポジティブな書き込みが広がり
それを観たユーザーがCDを買い、またポジティブな書き込みをする。
そうして、バンドのCDは一人歩きするかの様に
売れ続けて行きました。
2003年当時、僕が最も力を入れていたものが
楽曲のダウンロード販売でもありました。
時代的には早すぎた感じもありますが
当時の数少ないダウンロードサイトにレコード会社から登録をしてもらい
自由に視聴が出来るシステムを取り入れ、ユーザー自由に聴いて楽しんでもらう仕組みを作りました。
それが、CDの売り上げ低下に繋がったとしても、それ以上に純粋に自分たちの曲そのものを聴いてくれる人が増えればとの思いからですが、そういった姿勢が、ダウンロードサイトの月間アクセス数1位に輝き、ダウンロードビジネスの確信ともなりました。
その後、2005年には3ヶ月連続シングルダウンロードリリースを
業界に先駆けて行い全作品が1位になるという結果も残せました。
以上の僕がやって来た仕事の成果や課題をふまえて
明日、レコード会社の存在意義やアーティストの価値観を
考えていきたいと思います。


