現代の日本で暮らす自分たちにとって「生」と「死」というキーワードはなかなか実感しにくいというのが本音だと思う。
大不況だと声高に叫ばれても今日の衣食住を心配しながら生活するという状況ではない現状とは裏腹に日本はベラルーシ・リトアニア・ロシア・カザフスタン・ハンガリーに次いで自殺率が世界第6位という皮肉な結果もある(2009年時点)。
それでもテレビや雑誌などで「世界の貧困」などを見ると、どうも赤の他人事の様に感じてしまうのは日本という豊かな国で生活する代償に他ならないが、人というのは距離感の生き物だと強く実感する。
要するに世界の裏側の子供が100人死ぬよりも、飼い猫が死んだ方が悲しいのだ。
それを認めた上で、自分自身の存在意義を確認したいという思いから始まったイベントがある。
2006年にミュージシャンの森 源太・丸山 茂樹・ロックバンドのLEGONIC TRAPの3組が中心となり開催された「ぜろ祭り」。

ミュージシャンがライブをして、そこで得た資金の一部をNPO法人テラ・ルネッサンスを通じてカンボジアの地雷除去支援に使ってもらうという仕組みの裏には大きなコンセプトがあった。
「自分には何もできないと思ってない?」
そこには「日本で何不自由なく生活している自分たちは、いつの間にか自分の存在の小ささを嘆いて、何もできないと勘違いしている自分が嫌になってしまう。一人一人は微力かもしれないけど無力じゃないって事に気付いて欲しい。」といった現代の若者たちへのメッセージがあった。
要するにボランティアやチャリティーといったイベントではなく、現代の日本へ向けたメッセージを伝えるイベントとしてスタートした「ぜろ祭り」はイベンターなどを介さず、ミュージシャン自身が会場を押さえ、運営資金を確保し、そしてボランティアスタッフを集め、集客までの全てを行っていった。

「ぜろ祭りに『楽しみに』来てくれること。唄いに、踊りに、仲間に会いに来てくれること。そんことが地雷ば減らしてくれるとです。楽しみながら悲しみば減らすとです!楽しみながら笑顔ば増やすとです!!」
そう叫んだミュージシャンの森 源太の言葉の様に自分が楽しんだら、結果的に誰かの役に立っていたという仕組みは多くの共感を呼び400人以上の集客に繋がった。

そしてNPO法人テラ・ルネッサンスには2006年の収益の一部から10万円近くが渡され、結果的にカンボジアの地雷を少しでも減らす事ができた。
少し補足を書いておくと、カンボジアではまだまだ多くの地雷が地面の中に埋まっている。それは子供たちが走り回る学校の校庭にもあるかもしれない。
(かもしれない)と書いているのは、存在しているか分からないから。
「ここには地雷はない」と断定できた場所以外を(地雷原)という。
そんな「地雷有無の確認作業」に日本円で100円で1平方メートルを調べる事ができる。
(地雷除去には爆弾処理の経費として数万円かかるが、確認作業だけなら上記の経費で行える)

多くのスタッフがボランティアスタッフとして参加してくれたが、そこには「自分たちの力で何かを立ち上げる成功事例を感じて欲しかった」という想いがあった。
そんな2006年のイベントの成功から2007年と2008年にも同イベントは開催され、2007年からは収益のレポートをする為にスタッフが直接カンボジアまで同行して、地雷原や地雷除去の現場を視察するなど、社会的な意義を感じさせる様にまで成長した。
さて、今年2010年の「ぜろ祭り」開催は未定だが、「自分には何もできないと思ってない?」というキーワードが引っかかる方へ(書き損じハガキ・使用済みインクカートリッジ回収キャンペーン)などを特定非営利活動法人テラ・ルネッサンスが行っているので紹介しておきたい。
自分たちの行動で世界が劇的に変わらないかもしれないが、自分自身は少しでも変わるかもしれない。
そんな社会との繋がりは実は身近に転がっているのも事実だと知っていて欲しい。

