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2010年02月01日

アルジェリアとエジプトの仁義なき聖戦

2009年11月。
北アフリカに位置するアルジェリアとエジプトの2国間で"戦争"が勃発した。

アラーを崇める国同士だが、サッカーW杯予選では長きに渡る遺恨があった。
決戦を前にサポーターは暴徒と化し、街はさながら戒厳令化に。

(エジプト2-0アルジェリア)

2010年南アフリカで開催されるサッカーW杯の出場権をかけたアフリカ予選。
そのアフリカ予選のC組で“世界一危険”な試合の再戦が決定した。

2位のエジプトがホームで同1位のアルジェリアを2-0で下し、両チームが勝ち点13など全て並んだため、出場権を懸けてスーダンで決着を付けることになった。

まさに起死回生だった。後半のロスタイム5分。エジプトが1-0でリード。
このままならアルジェリアが6大会ぶり3回目の出場を決めるはずだった。

7万4,000人のホームの大観衆の前。エジプトのFWメテアブがヘディング弾を決めた。
発炎筒の赤い煙に覆われたスタジアムで観衆が旗を振り、雄たけびを上げた。
花火も上がった。

約5,000人のアルジェリアのサポーター席には火炎瓶が投げ込まれ、火の手が上がった。
試合前にはFIFAが直接対決の勝敗、得失点差、得点数すべてが並んだ場合はスーダンで一発勝負の再戦を決定していたが、「まさか並ぶとは」とFIFA関係者も驚きを隠せないでいた。

アルジェリアとエジプトは因縁の試合だった。

アルジェリア選手が試合前にエジプトのカイロ入り時にエジプト人に襲撃された。
ホテル前で約200人の若者が選手バスに投石。
窓ガラスが粉々となり、穴が開いた。
アルジェリアの4選手が負傷、流血した。
(エジプト側はこれはアルジェリア人の自作自演。彼らは試合を無効試合にする事でW杯に自動的に行ける。アルジェリア人ならやりかねないといった見解を発表していた。)

事件後アルジェリア外務省はエジプト大使を呼びつけ、安全確保を要求し、国際問題に発展していた。

練習も厳戒態勢、選手はホテルから一歩も出ることができずスタジアムには軍隊、テロ対策チームなどが警備のため配置されていた。
事件で負傷したMFレムシアとDFハリシェはこの日、頭に包帯を巻いてプレーした。

アルジェリアとエジプトには深い政治的対立がある。
1989年の衝突から始まり、2009年6月にも大混乱となった。
フランスの支配に対するアルジェリアの独立戦争時(1954年~62年)には、エジプトが手助けをした過去もあるが、今は遺恨を抱える「世界で最も危険」な試合となっている。

今回の試合をアルジェリア協会の幹部ラウラワ氏は「我々は戦争下のような状況で戦った。最高のパフォーマンスを出せるわけがない。でも次は勝つ。スーダンの雰囲気がここと違って穏やかだから」と語った。
両者の対戦成績はアルジェリアの8勝8分け6敗。

そしてアルジェリアとエジプトのサッカーの公式試合、いやW杯の出場権をかけた闘い以上の意味を含んだ聖戦が開始された。

キックオフから前半も終わりに近づいた時、歓喜の瞬間はアルジェリアに訪れた。
そしてそのまま試合はアルジェリアの勝利で終わり、24年ぶりにW杯本戦へ出場を決めた。

アルジェリア人にとってW杯が意味する事とは?

「アルジェリア人は誰もが心に傷を負っている。テロが吹き荒れた90年代、僕らは言葉にできない様な辛い日々を過ごした。長い間、故郷に帰れなかった仲間も多い。代表チームがW杯に返り咲いて僕たちは過去を忘れられる。新たな1歩を踏み出す事ができる。」

そんなアルジェリア人の言葉はサッカーが人々の生きる希望となり、また憎しみを生む標的にもなると教えてくれる。

2010年のW杯に出場を決めたアルジェリア。

そんなアルジェリアとエジプトは2010年1月にアフリカネーションズカップの準決勝で再度、決戦を行った。

エジプト4-0アルジェリア

そしてエジプトは決勝でガーナを1-0で破り、3大会連続7度目の優勝を遂げた。
(3連覇は大会史上初で7度目の制覇は大会最多)

W杯予選の借りを返したエジプト人。
試合終了後・・・街ではすでに歓喜のお祭り騒ぎ。

日本では考えられないかもしれないサッカーを通して国がひとつになり、戦争の様にお互いを憎しみ合いながら、何度も闘いを行う。

そんな国とW杯で日本は対決をする。
国を背負う事の意味を深く考えさせられるエジプトとアルジェリアの聖戦に終わりはない。

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